▼1880:アイルランド

ボイコット(Illustration:) 実はボイコットは人名からきているのです…という由来を知っている人は結構いるかもしれない。でもなぜボイコットという人名が『ボイコット』という意味になったのか、きちんと知っている人は少ないんじゃないだろうか。
 『ボイコット』という言葉は「消費者がある商品の不買運動をしたり、労働者が同盟を結んで就労を拒否したりすること」または「共同して、ある勢力者を排斥すること」をいう。そう聞くと、歴史の知識のある人なら年代と場所を見て「はは〜ん、イギリスの不在地主に対するアイルランド人の反抗だな。きっとボイコットさんは、その先頭に立ったアイルランド人の名前だろう」と思うんじゃないだろうか。
 半分正解、半分誤解である。
 このころのアイルランドはムリヤリ合併されたイングランドに政治的・宗教的差別を受けており、いわゆる『アイルランド問題』が徐々に表面化している時期。確かにこの事件も、そんな背景の中で、小作人(アイルランド人)が小作料の緩和を求めたのに、領地管理人がそれを認めなかったため、小作人が一致団結して土地の耕作を拒否、さらに管理人を社会的に一切無視して泣かせちゃった、という顛末である。
 しかしながら、この小作人の中には「ボイコットさん」という人は存在しない。なんと、「ボイコットさん」とは反抗され、拒否され、無視されてしまった領地管理人の方だったのである。
 「ボイコットさんがやられちゃったあの事件」というのがいつの間にか「ボイコット事件」になり、無視“する”ことを『ボイコット』というようになったのだろうけど、本人が知ったら、やっぱり泣くだろうな、コレ。


※ 多分泣いちゃっただろう、と思う。