将軍達の激しい政争の中、力をつけた将軍達3人が手を結んで一気に元老院(共和制ローマでの最高決定機関)を圧迫にかかる。 いわゆる『第1回3頭政治』であり、海賊討伐でローマ中に名声の高いポンペイウスと、政敵のクラッススを、ガリア遠征でケルト人を征服したガリア総督カエサルが仲立ちする形で、華々しくスタートした新しい政治システムであった。
 そんなわけで、最初は「仲が悪い」クラッススとポンペイウスを、中立の立場のカエサルがなだめている、という状況だったのだ。これが、ポンペイウスやカエサルに比べて戦功の少ないクラッススが焦って意味なく遠征しそこで戦死してしまったことで、ガラリと様相が変化してしまった。
 今や、ポンペイウスVSカエサルという図式になってしまったのだ。
 続く『第2回3頭政治』は、カエサルの養子であるオクタビアヌスと、カエサルの一番部下であったアントニウス、それにまあ一応カエサルの部下だったけどあんまりパッとしないレピドゥスというのを加えて成立する。一応頭数を揃えた、という程度だ。
 案の定レピドゥスはすぐに、オクタビアヌスのタイコモチというか提灯持ちというか、腰巾着に成り下がってしまい、結局アントニウスVSオクタビアヌスという、大クライマックスへと流れてしまう。
 要するに『3』という数字がくせ者なのである。
 算数的・数学的には『3』はあくまでも『3』であるが、日常生活の上では、『3』という数字は実は『2+1』なのだ、と思う。
 遊園地の乗物は今でこそ3人掛けが主流だが、昔は殆どの乗物が2人乗りだった。3人で遊園地に行って、誰が1人で座るかでもめた経験のある人もいるのではないだろうか。今まで3人で仲良く並んで歩いていたのに、急に乗物の前で『3=2+1』を思い知らされてしまうのだ。
 では、『3』が壊れて『2+1』に分解したとき、ヒトはどうなるのだろうか。
 三角関係に悩んでいた男女ならばめでたいのかもしれないが、これが『力関係』であった場合、『2』になることはイコール『1VS1』になるという事である。 ローマの三頭政治が2回とも『1VS1』になったのが好例であり、歴史を見渡しても『3=1+(1VS1)』の構造は、いろんなところで顔を出してくる式だと思う。
 ワタシが大学を卒業して最初に就職した処では、それまで一人も女子をとっていなかった。ワタシが初めての女子社員だったのだ。「他に女性はとらないのか?」と聞いたワタシに理事長曰く、「今度女性をとるならあと2人とらなくてはならない。女性が2人では絶対争いが起こるから、1の次は3でなくてはならないのだ」
 とか。彼の頭の中でも3は『1+(1VS1)』だったのだろう。
 ただし、今までのハナシを逆にすると、『3』という数字は危ういながらも均衡を保てる奇跡の数字なのかもしれない、とも言えるのである。
 もちろん、ただ単に頭数を揃えただけでは、第二回三頭政治のように均衡は保てない。かといって、1VS1を仲介する最後の『+1』があまり強力すぎると、第一回三頭政治のように『1VS1VS1』にもなりかねない。
 つまり、最後の『+1』がどれだけの手腕と力と頭を持っているかによって、この奇跡の数字の効力は決まってくるわけである。独走でも対立でもない『危うい均衡』。今後の歴史で『ちょうどいい+1』は果たして登場してくれるのかな…。