レキシをやっていると、ものすごく「さら〜り」と、『○○王朝が◇年に断絶したため、△△王朝が成立した』なんて記述が出てくる。
なんとなくそんなもんか、と思っていると気づかないんだけど、よくよく考えてみると、断絶ってことは、一族が全部死に絶えるってことである。
一族にかけられた呪いが…なんて小説じゃあるまいし、そんなことが頻繁に起こるなんて、ムカシはどうなってたんだ、って思ったことはないだろうか?
中には、「王家の血」を守るために近親結婚を繰り返して奇形児がどうの…なんて話を、すぐに思い出す人もいるかもしれない。
実際ローマ帝国では近親結婚がたたったのか、はたまた鉛中毒のせい1なのか判らないけど、確かに子供がいない皇帝は多かった。ローマ帝国の黄金時代である五賢帝時代も、別名『養子皇帝時代』というくらいで、みんな近親のテキトーに頭のいい子を養子にもらって済ませていたのである。
加えて、衛生観念の問題がある。
19世紀になるまで、人々には『バイキン』『細菌』が病気を引き起こす、という概念を持っていない。だから目に見える汚れくらいは落とすかもしれないけど、目に見えない汚れは全く気にしない。汚れてなけりゃ手も洗わないし、予防しようともしない。
当然、とっても不衛生だ。みんなすぐ病気にかかる。それが伝染性だった場合なんかは、なすすべもなく一気に大流行しちゃう。感染する、という考え方自体がなかったのだからしかたない。
だから、遺伝性のモノ以外の病気でも「近親だから感染した」ってことは十分あり得たのだ。近親=近くにいる=接触する機会が多い=病気がうつる機会が多い、ってことだから。
病気にかかってからだって、『病原菌』という考え方自体がないから、とても治癒率に期待はできまい。すると、かかったが最後、家族中・一族中が同じ病気でバッタバタ…ってこともあったわけだ。
それがたまたま王家だったりすると、恨まれている事情のひとつやふたつあるだろうから、呪いだとか天罰だとか、そういう噂もできてしまうのだろう。
社会が安定していなかった頃のことだから、戦争で死んだ人も多いのでは…?と、思う人もいるかもしれないが、これが意外なことに、『戦争で死んだ人は、多分それほど多くない』のだ。
というのも「戦争=大勢死ぬ」というのは、近代兵器が登場してからのことであり、人間VS人間である頃は、戦争ではそれほど死人はでなかったらしい。殺してしまうより、捕まえて身代金をもらった方が儲かる(!)から、殺さないのだ。
12世紀頃の西欧では、千人以上の騎士が1年戦争をして戦死者はわずかに2人、あとは『不運な事故』で5人死亡、という記録があるらしい。
現在は確かに『断絶』こそ殆どないかもしれないけど、正義という名の下に、『全滅』という一瞬がいつでもやってくる可能性がある。そう考えると、いったいどちらが幸せなんだろうなあ。

  1. 鉛中毒:ローマ時代に使用していたデザートを入れるボウルに鉛が使用されていたため、宮廷の人には「鉛による中毒が原因」と思われる障害が多かったそうだ。 []