4大文明を挙げよ、と突然クイズ番組で出題されたとき、思い出されにくいのはやっぱメソポタミア文明あたりだろうか。インダス文明もキケンかもしれない。でも多分、日本人なら「黄河文明」を忘れる人は少ないんじゃないかと思う。
そんな黄河文明のイメージからか、テレビで頻繁に流れる山水画みたいな中国の風景のイメージからか判らないけど、多分、中国を日本同様「水の豊かな国」と思っている人は多いんじゃないかと思う。
んが、実は広大な面積の上、膨大な人口を抱える中国は、1人あたりの水資源は決して豊富なわけじゃないんである。黄河流域の年間降水量は結構少ない上、河の面積が広いためか蒸発量が多く、実際に河川に流れている量は、ビックリするほど少ないんである。
長江をはじめとする南の河川は流量が豊富で、多分、テレビなんかで見る水の豊かな風景は、中国南部の風景なんじゃろう。
しかも、黄河は陝西、山西、河南の黄土高原を抜けならがら、年間16億トンもの大量の土砂を下流に運ぶ。そのため、しばらくすると土砂が堆積して河床が上がり、回りの土地よりも河の方が高い、いわゆる「天井河」となってしまい、ちょいとしたきっかけですぐに氾濫してしまう。1回氾濫しちゃうと、当然今まで流れていた「高い場所」には戻れないので、違う場所に流れるようになってしまう。
ただ、ちょっと横にそれるとかじゃないのだ。
山東丘陵にぶつかる関係上、丘陵の上を行くか下を行くかで、もうそっから下流はいくら目を凝らしても見えないくらいの場所まで河は去ってしまうのだ。
昨日まで目の前にあった河が、今日はどこを見渡してもない。
ていうか、自分の手の届く場所から、突然水がなくなってしまうのである。
元の時代、やる気も優秀さも十分すぎるほど控えめな皇帝の元、お金遣いに遠慮しない大臣とラマ僧が好き放題して財政がピンチになりつつあったそんな時、この流路の変更が起きた。
昨日まで田畑で収穫のあった農民から、もう1個のコメも取れなくなってしまったのである。
あっちゅー間に財政窮乏。
更にこの事態に対応できる優秀な人物の排出さえも控えめだった元では、有効な対応ができず、結局南人の我慢の限界を超えて反乱を起こされて滅んでしまう。
氾濫が招いた反乱に滅ぼされるとは、これ如何に。
なんてな。
そんな暴れ河を飼い慣らしながら、中国の歴史は刻まれているのであった。