▼1412〜31:仏聖女

ジャンヌ=ダルク(Illustration:マスダ) 英仏間の泥沼の百年戦争の中、1428年のその時、フランス軍は圧倒的な劣勢であり、(のちの)国王シャルル7世はオルレアンで絶望的な包囲網の中にあった。誰もがフランスもここまで…と思っていたそのとき、東仏ドンレミ村に住む13歳の羊飼いの娘が天使ミカエルからお告げを受け、その声のままに行動して見事英軍を撃退、フランスの国難を救ったのであった。これでジャンヌ=ダルクを英雄だと思わないヤツがいたら、そりゃ相当のヒネクレモンである。
 しかし、当の国王シャルル7世をはじめ、ジャンヌが現れるまでのフランス宮廷は、勝手にイギリスと通じたりするヤツもいて「まあ負けたら負けたでいいじゃないの」と、負けた後の算段の方が忙しい状況であった。そこにジャンヌがやってきて、あれよあれよのうちに勝ってしまったモンだから、計算が狂って困ったヒトもかなりいたらしい。変なハナシであるが。
 そんなわけで彼女は救国の英雄であると同時に目障りなクソガキでもあり、1430年にブルゴーニュ公に囚われてイギリスに売り渡されてしまった。イギリス軍としては、このガキさえいなければフランスは早晩墜ちていたはずだから、憎らしさ1粒1000メートルってカンジで、翌年には「アンタ魔女」と結審、火刑としてしまった。
 その裁判中の一年間、シャルル7世は一切ジャンヌ救出の手を打たず、逆に左のようにうそぶいたといわれている。まあそれも『聖女』としてジャンヌの悲劇性を高めるためにつくられた逸話なんじゃないか…という気もするんだけどね。
 とりあえず政治の中で正義を貫こうとすると、いろいろ大変なことになるんだなと、身をもって実証してくれている彼女なのである。