▼1427〜64:明朝皇帝

正統帝(英宗)(Illustration:マスダ) 明朝中期、北虜南倭で傾きかけた明朝を更に一層斜めにしてくれた英宗正統帝(1435〜49在位)。9歳で即位した正統帝は文化人としては名高い人物であるが、皇帝としては1000円安、といった感じの人物だ。特に途中から宦官の王振にいいように操られて、情けない土木の変という事件を起こしてしまう。
 しかし、正統帝の本領が発揮されるのは「土木の変…その後」である。
 実はオイラート部のエセン=ハンは、正統帝を殺す気は全くなく、彼を人質にして明朝がオイラート部にあげている恩賞をつりあげる交渉をしようとしただけだったのである。ところが明朝の方は、王振に左遷されて恨みを持っていた于謙という人物が「あんな情けない皇帝はいらない!新しい皇帝をたてて戦おう!」と主張、さっさと皇帝を交代してしまったのである。その名も代宗。オイラート部は交渉できないなら人質も意味がないので、とっとと正統帝を追い返してしまった。
 しかし、追い返されても明朝にはすでに新しい皇帝がいるので、正統帝はなんとも気まずい状態になってしまった。新婚初夜に事故で記憶喪失になった男が記憶を取り戻して妻の元に帰ってみたら既に新しい旦那がいた、みたいな状況である。
 二人で気まずい7年間を過ごした後、代宗の方が気が弱かったと見えて、先になくなってしまった。そのため正統帝が復位することになり、第8代天順帝(1457〜64在位)として即位したんだけど、そのころには「もうボクどうでもいいや」という気持ちになってしまっていたようである。
 とりあえず、身の程知らずに永楽帝と同じコトをしようとしたことが彼の不幸だったようだ。やっぱり、偉人のまねはしないほうがいいのだろうね。