▼1524〜25年:ドイツ

ドイツ農民戦争(Illustration:マスダ) 宗教改革の嵐の予感でいっぱいのヨーロッパで、ドイツ史上最大の農民一揆、いや、農民を中心にした政治・社会的大衆戦争が起こる。
 この時期、農奴として辛い貧窮状態にあった農民達が爪に灯をともす生活をした結果、少しずつ経済力をつけてきていた。にも関わらず領主は相変わらずの隷属扱いをやめなかったため、領主と農民の関係はじわじわと緊張し、1500年ころには一触即発の危険な状態になっていたのである。
 そんな中、周りの見えていないおバカな領主が、迂闊なヒトコトを発した。「ワシの奥さんが糸巻きするから、オマエら糸巻き用にカタツムリの殻を集めてこいや」
 収穫に忙しい時期にこんなこと言ってりゃ、蜂起されても仕方がないのかもしれない。
 とにかくヨーロッパの農民全体がピリピリしていたので、一ヶ所破れればアトは芋蔓式。その勢いに乗って、農奴制の廃止など記した『十二箇条の要求』なんかも出してみた。ところが領主側がこれを拒否したので、ますます運動はエスカレートする。あれよあれよの間に南ドイツの3分の2を制圧するまでに農民側は膨れ上がった。
 しかしながら、農民側の不幸なことには、この後農民側をまとめあげるような有能な指導者が出現しなかった。そのため運動はいつまでもバラバラの地域的なものであり、結束した領主達の反撃にあって、徹底的に鎮圧されてしまうのである。
 結局、この農民戦争で警戒感を強めた領主達が余計に支配を強めるという悲しい結果に終わってしまうのであるが、もし大人しくカタツムリの殻を集めていたとしたら…それはそれで、とても悲しい自分の姿であっただろうと思うのである。