▼1632〜53造営:ムガル帝国

タージ・マハル(Illustration:マスダ) ムガル帝国第5代皇帝にして最盛期といわれる時代を築いたシャー・ジャハンが、愛妃ムムターズ・マハルの死を悼んで造営した、建築美の最高峰。白大理石で覆われた儚げで優美な姿によって、現在でも「インドに行くのは怖いけど、どうしてもタージ・マハルだけは見たい!」という観光客を呼び集めている。
 この儚げなタージ・マハルから、ヒトは「美しく儚げな優しいインドの美女」を連想してしまうムムターズであるが、実は14人も子供をもうけた健康この上ない人物で、家臣に対して意見までしてしまう肝っ玉母さんだったようである。
 シャー・ジャハンは晩年子供たちに背かれ、1658年には次男と3男によって幽閉されてしまった。その年から1666年に死ぬまでの間、彼はずっとタージ・マハルを見ながら涙して暮らしたという話。もしかしたらはりきって帝国を切り盛りしていたのは、むしろムムターズの方なのではないかと思ってしまうのだった。