▼18C〜19C:英

ランニング-フットマン(Illustration:マスダ) ちょっと昔の欧州の貴族邸といえば『呼び鈴でかけつける召使い』のイメージがある人も多いんじゃないかと思う。この召使い、実は下請け企業のようなもので、役割によって細分化された召使いが、美しいヒエラルキーを描いて反目しあったりしていたのである。
 その中で、最も活躍華々しく目立つ役目を担っていたのが、主人の用事を携えて東奔西走する召使い、ランニング-フットマンである。
 電話が普及していない時代には、主人がちょいと友人宅に遊びに行くだけでも、あっちへ予約、こっちへ連絡と、ランニング-フットマン大活躍である。更には皿が足りないと言っては別荘まで走らされ、皿と共に帰着したり、味噌が足りないと言っては隣の家まで借りに行ったりなんてこともあったかもしれない。
 当然フットマンは社交場のお友達の家にメッセージをお届けしたりすることが多くなるので、次第に容姿のいいものが選ばれるようになる。そうすると、きっと社交界では「メアリさんちの第2フットマンが素晴らしいザマスのよ」とか「いえいえ、それよりエリザベスさんちの第1フットマンが最高ですのよ」「ま。ジョンは近々メアリさんちに引き抜かれると言う噂ですわよ」なんて、貴婦人達の格好のうわさ話のネタになったんだろうな。