▼1871?〜1916:ロシアの怪僧

ラスプーチン(Illustration:マスダ) 映画『アナスタシア』でブレイクした(のか?)ラスプーチン。映画を別にしても“怪僧”といえばラスプーチン、というくらいに有名な人物だが、意外なことには高校世界史の教科書にラスプーチンの名前は出ていない。あまりにも逸話が生臭いので教育的配慮をされているのだろうか?とにかく、このせいでラスプーチンが歴史にどういう登場の仕方をしたのか知っている人は、案外少ないようだ。
 帝政ロシア末期、いろんな意味で一触即発状態だったロシアに1904年誕生した待望の皇太子は、生まれながらの血友病だった。皇太子の母・皇后アレクサンドラは第一次世界大戦でロシアの敵国となるドイツの出身であり、血友病の遺伝が自分の祖母からきていることも判っていたので、精神的に相当追いつめられていたらしい。そんなとき、奇跡を起こすと噂の修道僧が彼女の前に現れ、祈祷治療で血友病を治してみせると豪語して、皇后の(いろんな意味での)フトコロに(いろんな意味で)入り込んでしまう。それがシベリアの貧農出身のラスプーチンだった。
 とまあ、これが『病気の息子を持つ普通のサラリーマン家庭』だったら「家族ぐるみで新興宗教にはまっちゃった」くらいで済んだかもしれないけど、生憎彼らはロシア皇帝一家だった。そのうえラスプーチンは超ナマグサ坊主だったので、政治にまで口出しするようになり、皇帝権力を勝手に使って好き放題。一触即発のロシアでそんなことをやっていれば、当然いろんな不満がすべてラスプーチンに集中し、結局1916年12月、暗殺されてしまった…という顛末である。
 「教科書に載っていない人物だけど、世界史の先生が勝手に教えてくれる人物」を調査したら、たぶんラスプーチンが一番になるんじゃないかな。…いろんな意味でね。